【Book】まんまんちゃん、あん。

きづきあきら+サトウナンキ 著、
冬幻社コミックス 刊、
すべては御仏の導きのままに。

 両親と5人の姉妹に囲まれて貧困の家庭で暮らす高校2年生の少女・めぐりは、進学をあきらめるも就職先が見つからない中、早く独立したいと漠然と考えていた。
 めぐりのアルバイト先、坂東家が檀家総代を務める隋徳寺では、住職の息子で後継者候補の信玄が縁談を断り続けており、母と坂東はその説得に苦労していたが、めぐりの思いを知る坂東が信玄に引き合わせ、1年後めぐりの卒業を待ち結婚の運びとなる。
 そのわずか2ヵ月後、事故に会い信玄は他界してしまう。

 めぐりは持ち前の明るさで人と接し、貧乏暮らしで鍛えた倹約の精神と機敏さで家事・寺の作務をこなし義母の指導・しつけも不要なほどしっかりとしていた。しかし一人になると、短いながらも幸せだった信玄との暮らしを想い悲しむのだった。
 一方、信玄が亡くなったことで隋徳寺は後継者問題が再浮上する。信玄への思慕から寺への残留を望むめぐりは檀家衆の人気も高く、信玄の弟の僧侶・一円や、有力檀家・黒柳家が見込んで外部から送り込んだ慈恩との再婚へと周囲の思惑が暴走していく。

 寺院を舞台にした人間模様を描く作品。
 信玄亡きあとでめぐりを取り巻く僧侶の宗教観と後継者への立ち位置の対比が面白い。さらに信玄の生前の思惑もいまだ詳細には語られていないのも一波乱あるのではないか。

■著者情報
きづきあきら - Wikipedia
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※著者のウェブサイト。

■書誌情報
まんまんちゃん、あん。 第1巻(2008.01.24/2008.01.24)
まんまんちゃん、あん。 第2巻(2008.06.24/2008.01.24)