【Book】ベントラーベントラー

野村亮馬 著、
講談社 刊、
彼らの常識は、我らの迷惑。


 「ベントラーベントラー」は首都圏民営警察外星生物警備課における隠語で「地球外より侵入した生物及び漂着物に対する処遇を在地球外生物に仰げ」の意味である。

 地球には多くの外星人や外星人由来の機械が飛来する。その対応を行うのが外星課の業務だが、自分達の情報・機材で対応が困難な場合には地球在住の外星人に協力を仰ぐことが必要となる。
 外星課の若手職員・牧原澄子は、とある事件で北新宿に定住する外星人クタムと知り合ってから妙に気に入られてしまう。呼ばなくても事務所や事件現場に顔を出すクタムに少々迷惑を感じるものの、事件解決には結構役立つため持ちつ持たれつの付き合いを続けている。


 本作品に登場する異星人や異星機械は、派手な侵略活動や攻撃を行わない。ちょっと地球に迷いこんだとか、特に悪気のない調査活動といった風情だ。但し彼らの常識と地球の常識はことなるため、地球人にとっては迷惑な行動となるため外星課が出動することになる。
 組織が民営「警察」だけあり事件はあくまで警察レベルに留まっているので、話の雰囲気は日常的なのんびりしたものになっている。

 異星人の日常への溶け込み具合は「シュメール星人」と同水準だが、「シュメール星人」が状況喜劇であるのに対し、本作は正当SF作品である。


■著者情報
野村亮馬 - はてな


■作品情報
ベントラーベントラー - はてな


■書誌情報
ベントラーベントラー 第1巻(2009.02.23/2009.02.23)
※以下、続刊予定。


■付録情報
・本体表1、4にイラストを掲載。


■装丁
TADAYOSHI MACHIDA (Switched-on Graphics)

ベントラーベントラー(1) (アフタヌーンKC)

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