【Book】へうげもの

山田芳裕 著、
講談社 刊、
「めぎゃっ」とした味わい。
http://www.amazon.co.jp/dp/4063726258

 織部焼き、織部流茶道の始祖である古田織部を主人公とする、戦国時代を舞台にした物語。
 戦よりも、古田織部の名物との出会いや、数寄・茶道を極める様に主軸を置いている。

 作者の作品は、作品ごとに、他ではあまり見られない工夫を盛り込んでいることが多い。
 「大正野郎」では筆を使った古風味あふれる画面作り、「デカスロン」では往年の金田伊功を思わせる極度なパースポージング、「度胸星」では遠近法を自在に変化させる不可思議な存在などが思いつくが、本作では、登場人物の非常に豊かな表情と、独特の擬態語表現が目立つ。
 表情については、爆笑・憤怒・哀悼・奸智・疑惑・潜み嗤いなどなど、他の漫画では見たことのない絵面で楽しませてくれる。
 擬態語は、主に古田織部が名物に出会ったり人・物を評する際に使用するが、「はにゃぁ」「ズドギュッ」といった珍妙な言葉が、迫力のある絵の中で光る。

 現在、5巻まで刊行。

■備考
 5巻巻末広告にて、「度胸星」が講談社から刊行との報あり。
 まずは復刊だろうが、願わくば連載再開と完結が成ることを期待。

へうげもの(5) (モーニング KC)

へうげもの(5) (モーニング KC)