【Book】甲骨文字の読み方

落合淳思 著、
講談社 刊、
誰でも甲骨文字が読み書きできるようになる?
http://www.amazon.co.jp/dp/4062879050


 甲骨文字は約3000年前の中国・殷王朝で使用されていた文字である。
 「亀甲獣骨文字」とも呼ばれ、その名の通り亀の腹甲や牛の肩甲骨に刻まれたものが、史料として残っている。これは、「卜占」と呼ばれる占いに用いられたもので、占いの時期・実施者・内容・王の判断・事後の結果などを記載したものである。

 甲骨文字はエジプトのヒエログリフのように、写実性に富む象形文字を多く含んでいるが、抽象化・記号化も体系立って進んでいる。漢字の直系の祖先であり、時代の流れによる意味の変化はあるものの、文字の構成要素は漢字とほぼ同じである。

 本書では、甲骨文字についての背景を簡単に述べた上で、漢字との対応と読み、基本文法を説明している。
 複雑な文字も、各構成要素が原型をとどめているため、以外に意味を類推しやすい。また、旧漢字においても亀甲文字の形を色濃く残しているものが覆いことに驚かされる。
 文法については基本的に中国語と同じである。卜占の記録という性質上、表現される内容も限られており定型化している。
 本書後半では、豊富な史料(拓本画像)を例題として卜占の内容を読み解く練習問題が掲載されている。