【Book】東京赤ずきん

玉置勉強 著、
幻冬舎 刊、
蒲田の夜の闇に描かれる赤ずきんの暗い童話。
http://www.amazon.co.jp/dp/4344804163


 狼に食べられることを熱望し娼婦を行う少女・赤ずきんは、運命の人でなければ相手を殺す殺人鬼でもある。
 猟奇の食肉店にかくまわれ、死体とショットガンの弾を交換するギブ・アンド・テイクの生活を行っている。
 連続殺人事件解決に執念を燃やす刑事は職を辞して、四本腕の異形の少女を暗殺者として雇い赤ずきんと対峙するが、赤ずきんは、彷徨う淫魔をてなづけ、両断されても死なない身体を見せつける。その正体は、決して人間の覗き見てはいけない領域に属する存在だということが、次第に明かされていく。


 全4巻。
 魔界の姫、四本腕の少女、猟奇の食肉店主、邪教の教祖、刺客の天使、狼の器。
 異形の者たちの思惑が交錯する中、スピード感のあるアクションが繰り広げられる。
 一般紙掲載作品だということがにわかには信じられない作品。規制に傾く風潮への著者の挑戦でもあったのではないか。