【Book】書店ポップ術 グッドセラーはこうして生まれる

梅原潤一 著、
試論社 刊、
出版社も相談に来る、書籍売り上げを左右するポップの職人。
http://www.amazon.co.jp/dp/4903122042


 著者は有隣堂ランドマーク店フロアマネージャである。入社数年目から独自のセンスで宣伝ポップを製作し、日々膨大な量が出版される書籍の中からこれぞと思う作品の売り上げを伸ばすために創意工夫してきた人である。
 約20年の書店員生活のなかで製作したポップは1000を越えると言い、本書では近年のグッドセラー書籍86冊/シリーズと、それを生み出す原動力となったポップ108種を厳選し紹介している。


 「今売れてます」「この本がすごい」といった紋切り型の味気ないポップや出版社の宣伝広告そのままのポップと違い、著者のポップは、自分が読み込んで面白いと思い、その面白さをいかにしてちいさなポップの中に表現するかという情念がこもった作品とも言えるものに仕上がっている。
 手作りのポップは、独特の書体・デザイン、練りこまれた惹句、書籍の魅力を伝える説明文で構成され、一目につき見たら買わずにいられないような魔力がある。


 著者がポップを製作する姿勢で面白いのは、書店の力でグッドセラーを作り出そうという思い入れである。
 個人的には好きだがあまり知られておらず売れていない作品を、ポップを工夫することで手にとって見てもらうとか、傑作だが出版社にも在庫がない作品を重版するよう掛け合って再燃焼させるなど、本への愛にあふれている。
 そうして効果を挙げたポップは、印刷され有隣堂各店に展開されたり、さらには出版社が着目し、帯に利用したり、出版社製作のオフィシャルポップとして他の著名書店にまで配られる場合があるのも驚きである。