【Book】昭和を騒がせた漢字たち 当用漢字の事件簿

円満字二郎 著、
吉川弘文館 刊、
1946年制定された当用漢字がもたらしたもの。
http://www.amazon.co.jp/dp/4642056416


 戦後占領体制化から続く民主化の流れの中で、複雑な漢字の種類・読みを制限し、ゆくゆくは消滅させることを意図した当用漢字政策。
 その当用漢字が昭和の時代に引き起こした様々な事件を、テーマとなる文字とともに9件取り上げている。


■恋
 「恋」と「変」を書き/読み間違えるというギャグの原点と当用漢字政策の関係。

■新
 当用漢字政策に賛同する新聞業界。しかし新聞題字の「新」の字に伝統へのこだわりとジレンマを見る。


■逓
 「逓信省」への復帰改名を目論んだ郵政省と、当用漢字表を盾に対決姿勢を打ち出した新聞業界。


■仁
 新宮命名にあたり、「新時代にふさわしい名前をつけるか−−具体的には「仁」をはずすか」という愚問を発した政治家。


■刑
 狭山事件の脅迫状に見られる誤字・当て字が冤罪を生んだ可能性。


■経
 「経」の俗略字を会社レポートで用いた学生が解雇されるに至った経緯。


■怨
 水俣病死民会議が思いを込めた「怨」の幟が、当用漢字思想の呪縛を開放する。


■宙
 当用漢字政策に押しつぶされた、鳴り物入りの日本語名たばこ新製品の悲劇。


■仲
 芸術作品に刻まれた文字の止め・跳ね・払いに苦言する者を生み出す当用漢字字体表。