【Book】フランケン・ふらん

木々津克久 著、
秋田書店 刊、
死んだ人間もよみがえらす天才的外科技術のもたらす結末。
http://www.amazon.co.jp/dp/4253233112


 生物学の悪魔と呼ばれ天才的な外科技術を持つと噂される斑木直光博士の邸宅で留守を守るのは、「博士の最高傑作」、つぎはぎの少女・ふらんであった。
 ある者は斑木博士の名声を聞きつけ、ある者はまったくの偶然から、現代医学ではどうすることもできない致命的な身体損壊や奇病を直すためにふらんの下に訪れる。
 彼女の知的好奇心と博士譲りの天才的・猟奇的外科技術の前にはいかなる倫理・道徳も意味をなさず、望むがままの治療が完成する。


 8編を収録しているが、2編を除いて破滅的結末に終わっている。一方で、前話において手術は成功している点も見逃せない。結果の価値は、見る人の立場によって変化するのが科学の常である。


 現在第1巻まで刊行。
 第2話の蛹のモチーフは、「わたしたちの好きなもの」収録の「なぎ」と見比べると面白い。
 第5話は「きりひと賛歌」へのダークなリスペクトか。