【Book】数学ガール

結城浩 著、
ソフトバンククリエイティブ 刊、
レオンハルト・オイラー生誕300年記念出版。


 「僕」が高校初日のホームルームをさぼって桜並木を見物していると、同じくさぼりの少女が問いかけてきた。「1、1、2、3」。彼女の名は、ミルカさん。
 2年生になったある日、後輩の女子から苦手な数学について教えてほしいと突然手紙を手渡された。彼女の名はテトラちゃん。
 あるときは二人で、あるときは三人で、放課後の図書室や喫茶店で学校の授業とは異なる数学を楽しむひと時をすごすのが、「僕」たちの日課となった。


 本作品は、高校を舞台にした青春小説であるとともに、初等数学の楽しみ方を学ぶ読み物でもある。
 「覚えるより考えることを優先する数学が好きだ」という「僕」、いつも新しい発見へと導いてくれるミルカさん、数学は苦手だが考えることに真剣に取り組むテトラちゃんの三人が、一つの数式・数列から出発して自ら問題を作り、さまざまな考察を加えていく。
 登場する話題は「素数」「絶対値」「フィボナッチ数列」といった高校教育レベルのものから、「テイラー展開」「ゼータ関数」のような大学初頭教育レベルのものを含むが、説明はパズルを解く程度の平易さである。数学の問題を解く楽しさを再認識させてくれる。


 著者は国産ウィキクローンの草分けである「YukiWiki」の開発者であり、CやJavaなどコンピュータ関連書籍を多数著すテクニカルライターとしても知られている。


■著者情報
結城浩 - Wikipedia


■書誌情報
数学ガール


■参考情報
Web版「数学ガール」
※本書の元となったWeb版。


※月刊コミックフラッパー2008年4月号より漫画連載化とのこと。


数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)