【Book】名作マンガの間取り

景山明仁　著、
ソフトバンククリエイティブ　刊、
創作世界の中の家屋はそれ自体が一人の登場人物。

　著名な漫画作品42件に登場する家屋と、番外編として漫画以外の創作物8件に登場する家屋の間取り図を紹介する。
　著者は不動産業・建築コンサルタント業を現役で営んでおり、これまでに描いたプランは2500を越えるという。その経験を生かし、作中に登場する家屋描写の断片情報と登場人物の背景情報から、これらの間取り図を描いている。
　図面を起こして初めてわかる構造上の問題や演出上の嘘についても考察しており興味深い。

　思い入れある作品の主人公と友人になり家を訪問してみたいと思ったことは、誰にでもあるのではないだろうか。また、作品に登場する家屋の構造に奇妙な点を見つけ気になったり、作中に登場しない細部を知りたくなることをあるだろう。
　本書はそのような願望を充足するための格好のガイドブックである。

■気になる家屋
・「ドラえもん」野比のび助邸
　ドラえもんは廊下につかえて歩けない。
・「巨人の星」星一徹邸
　建築限界に挑む厚さ推定9mmの壁。
・「ブラック・ジャック」ブラック・ジャック邸
　意外に考え抜かれた動線設計。
・「マカロニほうれん荘」姫野まり子邸
　実は歩いていける距離にあった。
・「機動警察パトレイバー」警視庁警備部特科車両二課
　シンメトリーな機能美の部屋配置。
・「うる星やつら」諸星邸
　ラムの住む押入れには窓があった。
・「魔法使いサリー」夢野邸
　リビング階段にアイランド型キッチンを備える異人館。
・「太陽のほえる！」七曲署捜査一係
　ボスの机の前の謎の空間。
・「あなた」私が建てたい家
　小さい家に要求事項が一杯。
・「吾輩は猫である」珍野苦沙弥邸
　茶の間・客間・書斎・寝室・女中寝室・台所と部屋が多い旧家屋。
・「注文の多い料理店」山猫軒
　2階は謎のまま。

■書誌情報
名作マンガの間取り（2008.07.26/2008.08.08）

■装丁
松昭教デザイン事務所

名作マンガの間取り