【Book】AIRプログラミング入門　1.1日本語版対応

宮内亮　著、
秀和システム　刊、
ブラウザの殻を脱ぎ捨てたウェブアプリケーション。

■AIRの概要
　「AIR」 (Adobe Integrated Runtime) はAdobe社が提供する、デスクトップRIA (Rich Internet Application) の実行環境です。

■AIRの特徴
　AIRの特徴は、以下の通りです。

・クロスプラットフォーム
　 AIRは現在Windows、MacOS、Linuxに対応しています。AIR上で動作するように作成されたアプリケーションは、これらのOS上で動作可能となります。

・デスクトップRIA
　RIAは旧マクロメディアが2002年頃に提唱した概念です。旧来のウェブアプリケーションが静的なHTMLとCGI等のサーバサイドプログラムにより実現するのに対し、RIAはFlash、Ajax等を用いて高度なGUIと機能を実現します。RIAは当初ブラウザ内で動作するものを想定していましたが、ブラウザなしで動作するデスクトップRIAへと拡張していきました。AIRはデスクトップRIAの有力な実現手段です。

■AIRアプリケーションの開発方法
　AIRは、HTMLレンダリングエンジン、JavaScriptエンジン、Flashエンジンを内臓している。そのため以下のような様々なウェブアプリケーション開発方法を利用し、AIRアプリケーションを実現できます。

・HTML/Ajaxアプリケーションとして開発
　一般的なHTML開発ツールを用いて、HTML、CSS、JavaScriptを用いたAjaxアプリケーションとしてAIRアプリケーションを開発できます。
　様々なAjaxライブラリを利用することができるため、例えばDojo ToolkitやExt JSを使用すれば高度なGUIを実現可能です。
　さらに、AIRのHTML/JavaScriptエンジンはWebKitを利用しているため、Canvasオブジェクトが使用可能であり、HTML/Ajaxで図形操作が可能です。

・Flashアプリケーションとして開発
　Flashを用いて開発したアニメーションやゲームなどのコンテンツを、AIRアプリケーションとすることができます。
　UIコンポーネントとActionScriptを利用し、GUIとプログラムロジックを兼ね備えたアプリケーションの開発も可能です。

・Flexで開発
　MXMLとActionScriptを用いてFlashアプリケーションを開発するのと同じ要領でAIRアプリケーションを開発できます。
　MXMLとActionScriptによるソースプログラムをコンパイルするには、有償のFlexBuilder（ExlipseベースのIDE）を用いるか、無償のFlexSDKに含まれるFlex コンパイラを用いる方法があります。

■AIRの主要機能
　AIRアプリケーションはデスクトップでの動作を前提としているため、通常のウェブアプリケーションでは利用が制限されるOSの機能を利用することが可能です。
　これらの機能を提供するのが、AIR APIです。AIR APIは、ActionScript、JavaScriptのいずれからも呼び出して利用可能です。

・ネットワークAPI
　サーバ上のプログラムや別のAIRアプリケーションと通信するための機能。

・ネットワーク検知API
　AIRアプリケーションが動作するマシンが、ネットワークに接続された状態かどうかを検知する機能。

・ファイルシステム API
　ローカルファイルにアクセスする機能。

・クリップボード API
　OSが管理するクリップボードデータにアクセスする機能。

・ドラッグ/ドロップAPI
　ドラッグ/ドロップ操作を可能とする機能。

・ウィンドウAPI
　OSが提供するネイティブウィンドウを利用する機能。

・インストーラ/アップデータAPI
　ウェブからのインストールや自動更新などを可能とする機能。

・ローカルデータベースAPI
　AIRに内臓のデータベースエンジンを用いたローカルデータベース機能。

■本書の内容
　本書では、AIRの概要、AIRの実行／開発環境の導入、基本的なアプリケーション作成、配布方法などについて、豊富な例を示してわかりやすく解説しています。
　サンプルプログラムのソースは、付属のCD-ROMに含まれています。

目次：
開発準備編
1.AIRについて知ろう
2.AIR実行環境を整えよう
3.AIR開発環境を整えよう
4.AIRアプリケーションの開発言語を速習する

開発実践編
5.AIRでウィンドウを操作する
6.ファイルとフォルダを操作する
7.内部データベースを使用する
8.クリップボードを使用する
9.ドラッグ&ドロップを使う
10.AIRアプリケーション間通信
11.AIRセキュリティを理解する
12.AIRアプリケーションを配布する

■著者情報
Webシステム開発.com
※著者が代表を務める企業「Webシステム開発」のサイト。AIRに関連する豊富な情報を公開している。