【Book】できそこないの物語

箱宮ケイ 著、
講談社 刊、
自分と似て非なる存在に、人間はどのよう接するのか。


 少年が最初に目覚めたとき、ぎょろつく目を持つ老人が言った。「ようこそこの不可解で悲劇的な世界へ」。
 次に目が覚めたとき、自分が棺桶の中で横たわっており記憶がないこと、左手が黒く触れたものを腐食させる力があることに気づいた。

 傍らにいた少女は「灯の子リィラ」と名乗り、少年を「毒の子ジュジュ」と呼んだ。
 同じく記憶がないリィラは、自由自在に伸びる髪でジュジュを捕縛すると、明かりを目指してとりあえず進むことにする。その道すがら、自分達が「ギュールギルムの人形」と呼ばれる存在であり、賞金を掛けられていることを知るのだった。


 リィラとジュジュの話を中心に、一話完結で世界中に散らばる人形達の暮らしを描く。
 人形には動物型のものややや人間離れした容姿のものもおり、それぞれ徳性を持っている。その特性によって人間と共生している者もいれば、人間に疎まれているものもいるなど、状況は様々である。

 今後、彼らの物語がどのように進んでいくのか、楽しみである。


■著者情報
箱宮ケイのおもちゃ箱
※著者のブログサイト。


■作品情報
できそこないの物語 - Wikipedia


■書誌情報
できそこないの物語 第1巻(2008.10.23/20010.23)
※以下、続刊予定。


■付録情報
・本体表1、表4に著者コラムを掲載。


■装丁
SHIN MATSUYAMA

できそこないの物語(1) (シリウスKC)

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