【Book】ブラッドハーレーの馬車

沙村広明 著、
講談社 刊、
孤児院の少女達に訪れる幸福の馬車は悲劇を運ぶ。

 ブラッドハーレー家は国内4位の資産家であり、当主ニコラ・A・ブラッドハーレーは貴族院議員でもある。
 その公爵家が有する「ブラッドハーレー聖公女歌劇団」は、孤児院に暮らす少女達にとって憧憬の存在であった。劇団に属する俳優達はすべて公爵家の養女であり、全国の孤児院から選ばれた存在だったからである。
 ある日自分達の孤児院にも公爵家からの使者が訪れ、自分が召されるかもしれないという希望に、少女達は胸を膨らませているのであった。

 劇団院は孤児院出身の養女というのは事実であり嘘ではないが、その影には恐るべき別の事実が隠されていた。
 刑務所での集団暴動・脱獄事件を防止するため、長期・無期懲役者の性的・破壊的衝動を抹消するため「人道的問題を差し引いても必要かつ効果的」と述べてブラッドハーレー貴族議員が発議したのが、年1回全国の孤児院から少女を選び刑務所に投入する「1・14計画」であった。

 全8話からなるオムニバス作品。
 上記背景を元に、幸福の馬車を待ち望む少女、舞台に上がる幸運をつかんだ者の行く末、受刑者の立場など、さまざまな視点で描かれている。

■著者情報
沙村広明 - Wikipedia

■作品情報
ブラッドハーレーの馬車 - Wikipedia

■書誌情報
ブラッドハーレーの馬車(2008.01.13)

■装丁
新上ヒロシ
「本」のデザイン「ナルティス」boss blog
※装丁者のブログサイト。

[asin:44778320514:detail]